好酸球性中耳炎

好酸球性中耳炎はどんな病気なの?

好酸球性中耳炎は難治性の中耳炎

好酸球性中耳炎(こうさんきゅうせいちゅうじえん)は鼓膜の奥の中耳腔に、にかわ状と表現されるようなねばねばとした粘度の高い液体が溜まる病気です。
慢性中耳炎や滲出性中耳炎に似ているように思えますが、これらの病気とちがう点は、中耳腔に溜まっている液体には好酸球と呼ばれる白血球のひとつが多く含まれているということです。また、好酸球性中耳炎にかかる方の多くが気管支ぜんそくを先に発症していて、好酸球性の副鼻腔炎鼻腔ポリープを起こしていることもよくみられる傾向です。40~50歳代の、比較的女性の方が発症しやすいと考えられています。
好酸球性中耳炎は診断がつくまでに時間がかかることが多く、再発しやすく、一度かかるとなかなか治りにくい病気です。放っておくと治すことが困難な難聴を起こすことがあるので、耳鼻咽喉科で適切な診察、治療を受けることが大切です。

好酸球性中耳炎の原因は不明?

現在では原因がはっきりとわかっていないのですが、細菌などが侵入したり、アレルゲンから受ける刺激などで血液中の好酸球が活性化したりして、好酸球性中耳炎が起こると考えられています。気管支ぜんそく、好酸球性の副鼻腔炎や鼻腔ポリープに合併して引き起こされる場合が多くみられます。

好酸球性中耳炎で起こる症状は?

好酸球性中耳炎で起こる症状は?中耳腔にねばねばした液体が溜まって耳が聞こえづらくなったり、耳がふさがったように感じたりします。ぜんそくの発作が起こると症状がひどくなることがあります。また、内耳に障害が及んだ場合は、感音性難聴という音を正しくとらえられない、治療が難しい難聴になることがあり、耳鳴りがしたりめまいを起こすこともあります。
細菌などの感染により鼓膜に穴が開いたり、肉芽(にくげ)ができたりすることもあります。

好酸球性中耳炎の治療方法は?

基本的には気管支ぜんそくや副鼻腔炎を起こしていて、それに続発することが多いです。まず気管支喘息や副鼻腔炎をコントロールすることにかわ状の中耳貯留液を取ることです。そのために使用するステロイドで軽快する場合もあります。
ステロイドの服用の仕方が重要です。容量や剤型などは症例ごとに症状の進行具合により異なりますので、経過を診ながら増減していくことになります。

内服治療(ステロイド)

ステロイドを内服することで好酸球が広がることを抑えます。多くは気管支ぜんそくを合併しているので、その治療が重要です。

手術(鼓膜切開・鼓膜換気チューブ挿入術)

①鼓膜切開(鼓膜開窓)

鼓膜切開(鼓膜開窓 )鼓膜の奥にある中耳腔に溜まった液体を、レーザーを用いて鼓膜に小さな穴を開けて取り除きます。ねばねばとした粘度が高い液体で取り除くのが難しい時は、お薬などで粘度を薄めて除去します。

②鼓膜換気チューブ挿入術

鼓膜換気チューブ挿入術では、鼓膜に小さな穴を開け、そこにシリコンチューブを差し込みます。そうすることによって中耳の中がいつも換気されている状態になり、中耳炎の改善聞こえづらさの改善が見込めます。
一時的は軽快することもありますが、長期になってくるとチューブの脱落や感染が起こるようになってきます。脱落すると鼓膜穿孔が残る確率が高いです。また長期留置により局所感染を起こし、耳垂れが止まらなくなることもあります。

③ステロイド鼓室内注入

症状が重い場合にステロイドを鼓室内に注入することもあります。

好酸球性中耳炎のQ&A

好酸球性中耳炎は慢性中耳炎と何が違うのでしょうか?

Q&A鼓膜の奥の中耳腔から液体が流れ出る慢性中耳炎型のものでは似ているのですが、好酸球性中耳炎では好酸球という血液中にある白血球のひとつがたくさん含まれていて、ねばねばとしています。また、好酸球性中耳炎にかかった患者様の多くは気管支ぜんそくを発症していて、好酸球性の副鼻腔炎鼻腔ポリープに罹患しているところも好酸球性中耳炎ではよくみられます。診断が出るまでに時間がかかることも多く、再発しやすいため一度かかると治りにくい病気です。慢性中耳炎型になる場合と鼓膜に穿孔なく滲出性中耳炎型になることがあります。穿孔の向こうの鼓室内に、にかわ状の貯留液が固まっていることが多く、洗浄などでできるだけ吸い出してやることが重要です。

好酸球性中耳炎の治療としてステロイドは有効なのでしょうか?

局所投与するだけでも有効な場合もあり、気管支喘息や副鼻腔炎の治療を目的に全身投与することで中耳炎の経過が良くなる場合もあります。やはりステロイド治療が決め手になると考えられます。

めまいや耳鳴りがあるのですが、好酸球性中耳炎の可能性はありますか?

めまいや耳鳴りは典型的ではありませんが、放置することでめまいも耳鳴りも起こりうる症状のひとつです。ただめまいや耳鳴りの原因はほかにもたくさんありますので、一度検査を受けていただく必要があります。耳鏡検査や内視鏡、顕微鏡で鼓膜や鼓室内をよく観察して聴力検査を受けていただきます。場合により中内耳のCT検査で精査することもあります。

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